2019年7月27日土曜日

フランツ・シューベルト 交響曲未完成

歌曲の王と呼ばれる19世紀オーストラリアの作曲家フランツ・シューベルト(1797131-18281119)。シューベルトの曲というと、やはり歌曲である「野ばら」、「魔王」などが有名ではありますが、歌曲以外にも優れた作品を残しています。その代表格とも言えるのが、今回ご紹介する「未完成交響曲」ではないでしょうか。

僅か31歳でこの世を去った早世の作曲家であるシューベルトはその18年間の短い作曲家活動の中で、未完のものを含め1000曲以上の様々なジャンルの楽曲を生み出しています。多くは歌曲や室内楽ですが、交響曲についても14曲残されており、そのうち7曲が完成、7曲が未完です。本日演奏する「未完成交響曲」はシューベルトが7番目に手がけ、未完で終わった交響曲です。

 シューベルトはグラーツ楽友協会から「名誉ディプロマ」を授与され、その返礼として182225歳のときにこの交響曲を作曲します。しかし、翌年シューベルトが送付したのは第2楽章まででした。楽譜を受け取った協会役員は残りの楽章の譜面が届くまでと2楽章分の譜面を手元に残していましたが忘れられ、この譜面が発見されたのは作曲から40年以上経った18655月でした。「未完成交響曲」は2楽章までが完成されたスコアとして存在し、あとは3楽章のピアノスケッチが残るだけです。シューベルトがなぜ第2楽章までで作曲を破棄したのか、その理由は諸説ありますが、現在でもはっきりとは分かっていません。

 2楽章までしか存在せず未完となっている本曲ですが、1865年の初演当初から非常に人気が高い曲となっています。その未完ゆえの完成度、曲全体に漂う不安と苦痛、その合間に現れる美しい旋律をお楽しみください

第1楽章 Allegro moderato 3/4拍子 ロ短調
低弦による不安な動機で始まる楽章。その後ヴァイオリンに導かれるようにオーボエとクラリネットの主要主題に発展します。当時珍しいロ短調によるこの曲は、歌曲とはまた違う不安、儚さ、力強さを感じさせてくれます。

第2楽章 Andante con moto 3/8拍子 ホ長調
展開部を欠くソナタ形式の楽章。穏やかな旋律がヴァイオリンによって奏でられます。長調の明るい曲ですが、所々苦痛や不安を感じさせます。

第1楽章: Allegro moderato(0:00)、第2楽章: Andante con moto(11:32)


シューベルト/交響曲第7(8)番ロ短調D.759《未完成》 ポケットスコア(全音楽譜出版社)
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